日本の美は、現代アートのように作家の個性を「もの」に表出したものでなく、またコンセプチャルアートのように、言葉によって理解するものではない。受け手がどれほど知識があっても、感受できる「感性」を身につけない限り受け止めることができない。私は「総体の美」を実践するために、主客の感性が響き合う時間と空間を作ることが必要と考えた。
1995年から行っている会員制の「日本雅藝倶楽部」では、会員が感性を研ぎ澄ますプログラムを展開し、また時折さまざまな時間と空間を作り出してきた。
「総体の美」の完成は、受け手の感性の洗練なしには 考えられない。